写真の色調の再現力、描写力、クオリティーは、「階調」で決まる理由を簡単に解説

写真の色調の再現力、描写力、クオリティーは、「階調」で決まる理由を簡単に解説しています。

「階調」とは、簡単に言うと色調の濃淡・明暗のことです。

写真のすべての色調、色は、この「階調」で決まっています。

理由は、デジカメが記録しているのはカラー画像ではなく、「階調」だからです。

写真の色調に関心のある方、色調にこだわりがある方に、おすすめの記事です。

僕は、写真(画像)のスキャニング、色調補正、画像編集の専門家です。

目次

写真の色調の再現力、描写力、クオリティーは、「階調」で決まる理由を簡単に解説

写真の色調の再現力、描写力、クオリティーは、「階調」で決まる理由を簡単に解説します。

「階調」とは、簡単に言うと色調の濃淡・明暗のことです。

例えば、カラー写真の中のすべての「色」には濃淡・明暗の変化があります。

濃淡・明暗の変化があるので、被写体の形や状態、質感、テクスチャーなど、すべての情報が見てわかるわけです。

逆に、濃淡・明暗の変化がない、つまり「階調」がなければ、写真にはただ真っ平なものが写っていて、そのものの形状や状態、質感、テクスチャー、様子などを見て判断することは難しいでしょう。

「階調」とは?やさしく、くわしく画像で解説

「階調」の差をサンプル写真で比較してみましょう

下記の2種のサンプル写真は、「階調」が異なった写真を上下に並べています。

はっきりとわかりやすい差にしていますので、どちらの写真が<伝わる写真>かは一目瞭然だと思います。

サンプル写真1

悪い例サンプル01

「階調」の差を解説

上に配置した写真の雲は「階調」が失われているため、ただ白く凹凸がなく平になっています。

そのため、雲の質感、状態、様子が伝わってきません。

下に配置した写真の雲は「階調」の濃淡・明暗が再現されています。

そのため、雲の質感、状態、様子がきちんと伝わってきます。

日陰になっている暗く黒い箇所(暗部)の様子も、上の写真より下の写真の方がしっかり木々の様子が見てとれます。

これも、「階調」の濃淡・明暗の再現に差があるためです。

サンプル写真2

悪い例サンプル02
適正サンプル02

「階調」の差を解説

こちらの写真では<色>に注目して比較してみます。

写真の中央から下部の赤色の飾り付けですが、一見、上に配置した写真の赤色の方が鮮やかでくすみがなくキレイに見えますが、形状がまるでわかりませんしフラットで塗料を塗ったようなっています。

他の色も同様の傾向になっています。

下に配置した写真は、飾り付けの形状、様子が再現されているため、見る側にきちんと伝わる写真になっています。

これも「階調」の濃淡・明暗が適正の範囲内に再現できているため、飾り付けの様子、形状まで見てとれる伝わる写真になっています。

デジタルカメラが記録しているのは「階調」

実は、デジタルカメラが記録しているのは、カラー写真ではなく「階調」です。

デジタルカメラは僕たちが肉眼で見ているカラーの映像や被写体の実際の<色>をダイレクトに記録しているわけではありません。

デジタルカメラが記録しているのは被写体の<濃淡・明暗>、つまり「階調」を記録していて、カラー画像はその「階調」のデータからカメラが独自に作り出して保存しています。

つまり、デジタルカメラがダイレクトに記録しているデータはカラー画像ではなく、被写体に応じた<濃淡・明暗>の「階調」をモノクロ、単色データで記録しています。

簡単に言ってしまうと、デジタルカメラは被写体を「階調」として記録しているわけです。

(デジタルカメラがダイレクトに記録している「階調」のデータをRAWデータといい、このデータが最も色調情報量が多い質の高いデータです。そのデータからカメラが独自にカラー画像を作り出して保存しているデータがjpgやHEICなどですが、色調情報や画質は間引きして保存し、元に戻すことはできない画像データです。)

撮影した画像がカラーになる理由

なぜ、モノクロ、単色の「階調」のデータがカラーの画像になるのでしょう。

その理由、仕組みを簡単に解説します。

まず、カラー画像の色は、色を混ぜ合わせてすべての色を再現しています。

その元になる色が、Re(赤)・Green(緑)・Blue(青)の3色です。

この3色の各色を、配合を変えて混ぜ合わせることで、すべての色を再現しています。

このRed(赤)・Green(緑)・Blue(青)の3色を「光の3原色』といい、頭文字をとりRGBと呼んだりします。

次に、RGB各色の混ぜ合わせる配合の量はどのように決まるのでしょう。

「RGB」光の三原色とは

混ぜ合わせるRGB各色の配合の量はこうして決まる

撮影した被写体のカラーを再現するために、混ぜ合わせるRGB各色の配合の量はどのようにして決まるのでしょう。

撮影した被写体はデジタルカメラのセンサーで捉えられます。

デジタルカメラのセンサーとは、フィルムカメラのフィルムに当たる部品です。

下記の画像がイメージセンサーです。

デジタルカメラのイメージセンサー
デジタルカメラのイメージセンサー

デジタルカメラのセンサー とは / 詳しく解説

フィルムと同じようにセンサー(イメージセンサー)が撮った被写体の像を受け止めます。

そして、被写体のすべての色は、色ごとにRGBの色成分別に分配されます。

RGB各色に分配された色成分の量が、その色の<濃淡・明暗>、「階調」のデータとしてRGB3つのデータが作られ記録されます。

そのデータは、色の<濃淡・明暗>、「階調」を記録していますので、RGB各色の3つのデータは1色(単色)です。

この色ごとにRGBの色成分別に分配されるイメージを画像化すると下記のようになります。

被写体

被写体

上の被写体が撮影された時、センサーが被写体の像を受け止め被写体の色ごとにRGBの色成分別に分配され記録した1色(単色)のデータのイメージ画像が下記の3点です。

Red(赤)の色成分の量を<濃淡・明暗>、「階調」で表したデータのイメージ画像

Red(赤)の色成分の量を<濃淡・明暗>、「階調」で表したデータのイメージ画像

Red(赤)の色成分の量が多い箇所ほど黒く、少ない箇所ほど白くなっています。(右下の<hiraibin-photo>の文字は便宜上、黒くしています。)

Green(緑)の色成分の量を<濃淡・明暗>、「階調」で表したデータのイメージ画像

Green(緑)の色成分の量を<濃淡・明暗>、「階調」で表したデータのイメージ画像

Green(緑)の色成分の量が多い箇所ほど黒く、少ない箇所ほど白くなっています。(右下の<hiraibin-photo>の文字は便宜上、黒くしています。)

Blue(青)の色成分の量を<濃淡・明暗>、「階調」で表したデータのイメージ画像

Blue(青)の色成分の量を<濃淡・明暗>、「階調」で表したデータのイメージ画像

Blue(青)の色成分の量が多い箇所ほど黒く、少ない箇所ほど白くなっています。(右下の<hiraibin-photo>の文字は便宜上、黒くしています。)

デジタルカメラが被写体のカラーを「階調」として記録している理由、仕組みを簡単に解説しました。

写真の再現力、描写力、クオリティーの高さは、まず、撮影した画像が豊富な「階調」を記録しているかどうかにかかっています。

豊富な「階調」を記録しているデータからは、より高い再現力、描写力、クオリティーの写真に、そして、より「伝わる」写真に編集できるということです。

「階調」の重要性は、色調補正の基礎・基本、本質とも一致しています。

色調補正のスキルは、「階調」の補正に尽きます。

以上が、写真の色調の再現力、描写力、クオリティーは、「階調」で決まる理由です。

※ RGB各色が各色別々のデータに作られる理由は、センサーの構造、仕組みによるものです。

一般的に流通しているほとんどのデジタルカメラのセンサー(イメージセンサー)は、この構造、仕組みのセンサーが採用されています。

デジタルカメラのセンサー(イメージセンサー) とは?

「RGB」光の三原色とは

写真・画像【「階調」とは?やさしく、くわしく画像で解説】

再現力・描写力・臨場感=豊かで美しい「階調」を記録できるデジカメの必須条件とは?

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