僕は、登山にもフルサイズのカメラを持っていきます。
理由は、これまで使ってきたAPS-Cサイズのカメラで撮った写真と比較して、一目で次元の違う画質、再現力、描写力を実感したからです。
おのずと、リアル感、立体感、臨場感もまったく違うだけでなく、画像編集の幅も違います。
APS-Cサイズも高画質で再現力も良いですし、カメラは小さく軽く、楽なのですけど。
センサーのサイズの大きさは、間違いなく画質、再現力の差となっています。
理由は、写真の色調再現の根幹で最も重要な「階調」とノイズの発生に影響しているからです。
デジタル画像の画質、再現力は、センサーが取り込める光の量が重要です。
「記録」したい写真を撮るため、フルサイズのカメラを登山にも持っていく理由
小さくて軽いスマホでなくて、なぜ、わざわざ小さくて軽くはないデジタルカメラを登山にも持っていくのでしょう?
その理由は、デジタルカメラで撮った写真の画質、再現力、描写力の高さは、例えば、センサーの小さなスマホで撮った写真の比ではないからです。
以前は、APS-Cセンサーサイズ(フルサイズの約半分のサイズ)搭載のカメラで撮っていました。
このセンサーサイズでも充分に高画質で再現力も高いのですが、撮った画像を比較してみて、一目で再現力の違いがわかりました。
描写力、リアル感、臨場感、立体感・・・・
こんなにも違うんだと実感しました。
これまでの仕事柄のせいもあって、敏感になっているのかもしれませんが、家内も僕と同感でした。
そして、色調補正、画像編集の許容幅も違います。
色調情報、「階調」が豊富で、ノイズがない(今のところ)ため、色調補正、画像編集で簡単に破綻しません。
一方、無理のある画素数であったり、解像度が低い画像は、破綻しやすく色調補正、画像編集で限界に達しやすいのです。
このような理由により、僕は思い入れのある写真を撮るときは、必ず、高画質の画像を記録しておき、後々も、高再現できるようにしています。
ですので、思い入れのある写真を撮るときは、なるべく大きめのセンサーを搭載したカメラで撮っておくことが最善の方法だと思います。
では、なぜ、センサーの大きさの違いで画質、再現力、描写力に差がでるのでしょう?
その理由をわかりやすく解説します。
デジタル画像の画質、再現力は、画素数よりセンサーの大きさが重要な理由
よく何万画素という画素数を耳にし、その数の大きさだけで高画質だと思ってしまいます。
実はそうではありません。
デジタル画像の画質、再現力は、まず、センサーの大きさが重要になります。
(フィルムカメラもフィルムが大きいほど高画質、再現力の高い写真になります。)
まず、センサーて何? という方に向けて簡単な解説をします。
センサーとは、フィルムに相当する部品です
下記は、デジタルカメラのセンサー(イメージセンサー、撮像素子とも呼びます)を示した画像です。
カメラからレンズを外すと、このようにセンサー(イメージセンサー)を見ることができます。
(レンズを外せないカメラもありますが構造は同じです。)
センサー(イメージセンサー)は、フィルムカメラのフィルムの役割に相当している部品です。
このセンサーが、レンズを通ってきた光を受け止め取り込んで、被写体を映像としてデジタル画像を生成します。
フィルムも、光を受け止めて被写体の映像を写しますね。
なぜ、センサーの大きさが重要で画質、再現力に関わっているのでしょう?
さて、ここからは、なぜ、センサーの大きさが重要で画質に関わっているのかを、なるべく簡単に解説します。
ポイントは、「光を取り込む量」です。
デジタル画像は、センサーが光を受け止め取り込む光から被写体の映像を生成すると解説しました。
センサーが取り込む光の量が多いほど、ノイズが少なく諧調が豊かで滑らかな高画質で高い再現力の画像を生成することができます。
(※「階調」は写真の色調再現で根幹になる要素です。下記で解説しています。)
センサーが大きいほど、光をたくさん受け止めることができるので、その分、多くの光を取り込むことができます。
ちなみに、画素数が増えてもセンサーの大きさが変わるわけではないので、取り込める光の量が増える訳ではありません。
また、小さなセンサーで画素数を増やしすぎると、逆に弊害が出てきてしまいます。
小さなセンサーで、画素数を増やす弊害
弊害とは何かというと、小さいセンサーで画素数を増やすということは、それだけ1画素あたりも小さくなるため、光を取り込む量が少なくなってしまうことになります。
画素数とは
文字通り、センサーの画素の数を表しています。
画素とは
センサーの構造は碁盤のように四角いマス目が並んでいて、このマス目が画素にあたります。
マス目1個が画素1個にあたり、この画素1個が「1画素」になります。
例えば、センサーに100個の画素が並んでいるすると、そのセンサーの画素数は100画素になります。
このように、画素数とはセンサーに並んでいる画素の数を表しています。
センサーが取り込む光は、この画素1つ1つが取り込んでいます。
つまり、小さなセンサーで画素数を増やすと、1つ1つの画素はより小さくなるため、1つの画素が取り込める光の量はどんどん減ってしまいます。
1つの画素あたりが取り込める光の量が少ないことで、ノイズが発生するいう弊害が発生します。
また、写真の色調再現で最も重要な「階調」の豊かさが違うので、再現力、描写力に差が出ます。
ですので、センサーが大きいほど画素数を増やす弊害は少なくなります。
例えば、画素数が同じセンサーの場合、センサーが大きい方が1画素あたりも大きいため取り込める光の量も多くなります。
そのため、ノイズ発生と階調再現の弊害は少なくなり、より高画質の画像を生成することができます。
センサーの大小の差を埋められない致命的な要素「階調」とは?
センサーの大小のよる画質、再現力の差は、暗い場所での撮影や大きいサイズの画像で顕著に現れてきます。
大きいセンサーの画像は、「階調」が滑らかで美しい再現を実現できます。
「階調」とは、グラデーションをイメージしていただけると解りやすいです。
下記の画像の下段のように、グラデーションは、「明るい〜暗い」、または、「淡い〜濃い」へ、段階的な変化を現しています。
実際の写真で例えると、空の低いところから高いところへの青色の濃淡の変化やモノクロ写真の白〜黒の変化です。
この「明〜暗」、「淡〜濃」の段階的な変化を「階調」といいます。
上記の画像の下段のように、撮影した画像が「階調」の変化の段階を細かく記録できるほど、写真は高画質、高再現、高描写を実現できて、美しく仕上げることができます。
「階調」の変化の段階が荒くなるほど、上記の画像の上段のように、階段状の変化になっていきます。
撮影し記録した画像の「階調」が上段の状態に近づくほど、写真の色調の再現性、クオリティーは低くなります。
写真の色調のクオリティーは、この「階調」再現の質の高さに関わっています。
記録されている画像の「階調」の豊かさ、質は、写真の色調再現にとって最も重要な要素です。
このように、センサーの大小の差は「階調」やノイズの発生などに影響しています。
下記の写真は、夕方、霧雨の神社をフルサイズのカメラで撮影しています。
あえて、条件の悪いシチュエーションを選んで撮影しています。
※ 写真内をタップすると拡大します。
センサーの大きさの実際の差
本稿の写真は、フルサイズのセンサーを搭載しているカメラで撮影しています。
フルサイズのセンサーと一般的なスマホのセンサーの大きさは、20倍〜30倍ほども違います。
つまり、これほど取り込める光の量に差があることになります。
デジタル画像は、センサーが取り込む光の情報から生成されます。
取り込む光の量が多ければ生成される画像は高画質、再現力は高くなります。
モニターやテレビは大型化し映像はますます高画質化しています。
写真を大きく高画質で映し出せる状況になると、より、画質、再現力、描写力の違い、差となって現れやすくなると思います。
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