小学5年生当時、ピッチング・投球の指導で気をつけていたポイントを記しています。
効果があって、なおかつ、子供の肩と肘を故障から守る投げ方を記しています。
小学時代【 投球の身体の使い方の誤解 Vol. 1「腕を振る」】
「上から投げなさい」、「腕を振って投げなさい」の誤解
当時、ボールの投げ方の指導で「上から投げなさい」、「腕を振って投げなさい」と教えられることはごく普通のことでした。
つまり、上から腕を縦に振って投げることが正しい投げ方として普及していたと思います。
他には、「肘を上げなさい」という指導も、よく耳にしました。
肘の位置が低いと故障するという情報は、野球経験者でなくとも広く知られていました。
その理由からなのか、肘を高く上げて上から腕を振るということになったのでしょうか・・・・
また、下半身を使って投げると教えられても、どう使うのかまでの指導は聞いたことがありませんでした。
そして、スピードボールは腕を上から一生懸命に振って投げるかのような指導を聞いたこともありました。
こうした指導を信じ反復継続して、ひどい場合には肩を痛める選手もいました。
(僕も、その1人でした。<第1話 〜 息子がプロ野球選手を目指すことになった日>で書いたとおりです。)
確かに、当時のプロ野球の選手さえもこうした身体の使い方でボールを投げている選手はいたので、それを正しいと信じて指導する指導者、またはマネをする選手がいたことはやむを得なかったのかも知れません。
上から投げる投げ方をオーバースローといいます。
サイドスローといわれる横方向へ腕を振る投げ方は、オーバースローより腕と肘の高さは低くなります。
ですので、この投げ方では肩を痛めやすくなり、球速が出ないという通説がありました。
もちろん、サイドスローで肩を痛めやすくなったり、球速が出ないということはありません。
あるとすれば、投げ方、身体の使い方の問題です。
投球の指導時の注意点
投球の目標は、球速と制球の2つです。
球速と制球の2つの目標は相反するように思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、実は実現したい身体の使い方は同じです。
ですが、投球という運動はとても繊細なので、2つの目標のパフォーマンスを同時に上げようとすることはリスクを伴います。
ですので、息子の指導時には、例えば、球速アップを目的とした場合は、近距離のネットへ向かって投球させていました。
制球は気にさせないためです。
同時に2つの課題のパフォーマンスを上げられる能力があれば問題ないのかもしれませんが、たいていの小学生には難しいことだと思います。
腕の振り方
投球で投げ手の腕が振られるのはトップ以後です。
トップとは、テイクバック後、ボールを握った拳が後頭部の位置まで上がったときのことです。
下半身の回転から、順に上半身の回転が始まっていくと、やがて上半身は投球方向に向かって正対していきます。
すると、トップの位置にある投げ手の肩、肘も投球方向へ向いていきます。
ついには、投げ手側の肩が投球方向へ出ていき、投げ手の腕は投球方向へ振られていきます。
つまり、投げ手の腕は、下半身と体幹の回転で振られるわけです。
投球での効果的な腕の振り方とは、肩自体を動かして腕を振ることではないことが理解できます。
繰り返しになりますが、肩を独自に動かして腕を振ることは効果的ではありません。
腕を振らせる回転の支点
肩自体を動かして腕を振ったとき、投球するために必要な回転、円の支点は、肩と上半身の接点である肩関節です。
回転、円運動の速度は、円の支点からの半径の長さが長いほど速くなります。
また、下半身の回転のエネルギーをできるだけ使いたいので、回転の支点は前足側の骨盤が望ましいです。
このとき、体幹の支点はグラブ側の肩あたりになると効果的です。
投げ手を振って投げたのでは、回転、円運動の支点は肩関節になるので、肩関節からボールを握った拳までの半径の長さは短くなるので、球速アップの効果は小さいことになります。
また、肩関節を動かして腕を振る運動は、肩の内部の筋肉に集中的に負荷をかけることになり、疲労やがては故障、怪我につながっていくリスクが高まっていきます。
肘の高さの基準
肘の高さの基準は、肩の高さが目安です。
これには理由があります。
ここでの解説は割愛しますが、厳密には肩よりやや高めです。
投球の指導の難しさ
特に、投球での指導の難しさは、選手に身体の動きを意識させるほどパフォーマンスは落ちていく傾向があり、イップスになるリスクが高まることです。
ですので、肘の高さの指導では、どうやって肘の高さを指導し選手に再現させるかは非常に難しいことです。
投げ手の腕の動きを指導するときのポイントは、選手にできるだけ意識させずに、できる限り無意識に近い状態で目標の動きを再現させることです。
意識させ過ぎてしまうと、プロでもイップスになってしまう選手がいます。
小学生では尚のことですから、息子には細心の注意と工夫をして指導をしました。
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