あじさいの色が赤色系〜青色系の色に発色する理由、色が決まる条件とは、下記の4つです。
① 「土の中のアルミニウム(アルミニウムイオン)」の作用
②「土の酸度」の作用
③「アジサイの色素アントシアニン」の作用
④「アジサイの補助色素ネオクロロゲン酸」の作用
あじさいの色を変える方法は、次の2点が重要です。
◯ 土の中のアルミニウムの量を調整する
◯ 土の酸度を調整する
この記事では、
・赤色系〜青色系の色に発色する理由
・色を変える具体的な方法
について詳しく、具体的に解説しています。
あじさいの色【赤色系〜青色系の色に発色する理由、色を変える具体的な方法】
あじさいの色【赤色系〜青色系の色に発色する理由】
あじさいの色が赤色系〜青色系の色に発色する理由、色が決まる条件は下記の4つの作用が働いて決まっています。
① 「土の中のアルミニウム(アルミニウムイオン)」の作用
②「土の酸度」の作用
③「あじさいの色素アントシアニン」の作用
④「あじさいの補助色素ネオクロロゲン酸」の作用
あじさいの赤色系〜青色系の色は、この4つの作用によって決まっています。
この項では、4つのそれぞれの作用によって、何色に変化し発色するのかを解説していきます。
①「土の中のアルミニウム(アルミニウムイオン)」の作用
あじさいの色は、土の中のアルミニウム(アルミニウムイオン)の作用が大きく関わっています。
あじさいの色は、根から吸収する土の中のアルミニウム(アルミニウムイオン)の量で決まります。
土の中のアルミニウムの量が多ければ、あじさいのアルミニウム吸収量が増えます。
アルミニウム吸収量が増えると、あじさいの色は青色方向へ傾きます。
土の中のアルミニウムの量が少なければ、あじさいのアルミニウム吸収量は減ります。
アルミニウム吸収量が減ると、あじさいの色は赤色方向へ傾きます。
補足:土の中のアルミニウム(アルミニウムイオン)の作用に影響するリン酸と水
土の中のアルミニウム(アルミニウムイオン)の作用には、下記の2点が影響します。
◯ リン酸
◯ 水
・リン酸の影響について
リン酸は、アルミニウムを溶けづらくする性質を持っています。
土中のリン酸の量が多ければ、溶け出すアルミニウムイオンの量は減少します。
溶け出すアルミニウムイオンの量が減少すれば、あじさいの色は赤色方向へ傾きます。
・水の影響について
土中の水分の量によって、溶け出すアルミニウムイオンの量が変わります。
あじさいの色は、土の中のアルミニウムが水で溶け出すアルミニウムイオンの量で変わります。
溶け出すアルミニウムイオンの量が多ければ青色方向へ、少なければ赤色方向へと傾きます。
②「土の酸度」の作用
土の酸度は、土の中のアルミニウムが水で溶け出す量に影響します。
土の酸度とは、土の性質を酸性〜アルカリ性の度合いで表したものです。
繰り返しになりますが、あじさいの色は、
アルミニウム吸収量が多くなると、あじさいの色は青色方向へ傾きます。
アルミニウム吸収量が少なくなると、あじさいの色は赤色方向へ傾きます。
土が酸性に傾くと、土の中のアルミニウムは水で溶け出しやすくなります。
土がアルカリ性に傾くと、溶け出しづらくなります。
あじさいは、土の中のアルミニウムが水で溶け出していないとアルミニウムを吸収できません。
アルミニウムの溶け出す量が多ければ、あじさいのアルミニウム吸収量が増え、あじさいの色は青色方向へ傾きます。
溶け出す量が少なければ、アルミニウム吸収量は減り、あじさいの色は赤色方向へ傾きます。
補足;土の酸度を表すpHという数値
土の酸度、酸性〜アルカリ性の度合いは、pH(ペーハー、またはピーエッチ)という数値で表わします。
例えば、
酸性の土は、 pH が 4〜6
アルカリの土は 、pH が 8 〜 9
が目安になります。
あじさいの色を青色方向にしたい場合は、pH を 5,0 〜 5,5
あじさいの色を赤色方向にしたい場合は、pH を 6,0 〜 6,5
を目安にします。
③「あじさいの色素アントシアニン」の作用
色素アントシアニンは、金属イオンと結合すると化合物を形成し色が変化する性質を持っています。
あじさいは、根からアルミニウムイオンを吸収します。
色素アントシアニンは、アルミニウムイオンと結合すると青色に変化した化合物を形成します。
この青色の化合物が、あじさいを青色方向に発色させています。
あじさいがアルミニウムイオンを吸収できない場合、青色の化合物は形成されません。
色素アントシアニンの色は、もともと(通常)は赤色です。
よって、色素アントシアニンはもともとの赤色のままなので、あじさいは赤くなります。
あじさいは、結合で形成される青色の化合物が多ければ青色方向へ、少なければ赤色方向へ発色します。
④「あじさいの補助色素ネオクロロゲン酸」の作用
あじさいの補助色素ネオクロロゲン酸は、色素アントシアニンの発色を安定させる作用があります。
ところが、「青色」の発色については、補助色素ネオクロロゲン酸とアルミニウムイオンの結合も必須の条件になります。
「青色」に発色させる、補助色素ネオクロロゲン酸の作用については、
「あじさいの花言葉、「辛抱強い愛情」を象徴する青色のあじさいが、青色に発色する独自の条件」
の項でも触れています。
その他:あじさいの花言葉を象徴する発色
あじさいの花言葉は、移り気、冷淡、冷酷、無常、高慢、辛抱強さ、辛抱強い愛情などです。
その花言葉の中から「移り気」と「辛抱強い愛情」を象徴する発色について紹介します。
あじさいの花言葉「移り気」を象徴する発色事例とその原因
あじさいの花言葉のひとつ、「移り気」。
「移り気」を象徴する事例とその原因を紹介します。
事例:鉢植えのあじさいを違う場所へ植え替えたら色が変わった。
原因:土の中のアルミニウムの量、土の酸度が鉢植えとは異なる。
事例:同じ株なのに、赤や青い花が咲いている。
原因:アルカリ性の土に根を張った花は赤く、酸性の土に根を張った花は青くなる。
また、根によってアルミニウム吸収量が異なる。
事例:同じ品種なのに、他とは違う発色をしている。
原因:他とは栽培している土の酸度、土の中のアルミニウムの量が違う。
事例:同じ場所なのに、違う色の花が咲いている。
原因:同じ場所でも、土の酸度にバラつきがあるため違う色になる。
「青色」に発色する独自の条件
あじさいの花言葉、「辛抱強い愛情」を象徴する青色のあじさい。
あじさいの「青色」は、アルミニウムと色素アントシアニンとの単純な結合だけでは発色しません。
研究の結果、あじさいの「青色」は、独自の条件によって発色することが解っています。
その条件とは、下記の、補助色素ネオクロロゲン酸を加えた3つの成分が結合していることです。
◯ 土の中のアルミニウム
◯ あじさいの色素アントシアニン
◯ あじさいの補助色素ネオクロロゲン酸
加えて、結合した3つの成分の構成比率が、1:1:1 であることが必須です。
この条件により形成された成分が青くなり、その成分がアジサイを鮮やかな「青色」に発色させています。
あじさいの色を変える具体的な方法
あじさいの色を変える方法、下記の2点について具体的に説明をしていきます。
◯ 土の中のアルミニウムの量を調整する
◯ 土の酸度を調整する
どちらの方法も、土と肥料を使用して調整します。
使用する土と肥料は、適した土と肥料を選定した後、適正な分量を配合して作ります。
しかし、この作業には土と肥料の専門知識が必要となります。
そこで、簡単に調整できる土と肥料を園芸専門店で聞いてみました。
そして、
「簡単なのは、成分配合済みの専用の土と専用の肥料を使うことです。」
と、教えて頂きました。
その、簡単に調整できる専用の土と専用の肥料を紹介します。
また、続けて調整に適した時期と使い方も説明しています。
土の中のアルミニウムの量を調整するために使う専用の 土
あじさいの色を変えるための、おすすめの専用の土を紹介します。
プロトリーフ 「青アジサイの土」
☆ アルミニウムを多く含み、あじさいを青色方向へ変えるための専用の土です。
◯ プロトリーフ「青アジサイの土」 1袋 5L
この土の特徴は、
青色の発色を助け、美しく発色するような成分が配合されています。
この「青アジサイの土」には、よりキレイに青色を出すための発色剤が付いています。
プロトリーフ 「赤アジサイの土」
☆ アルミニウムを含まず、あじさいを赤色方向へ変えるための専用の土です。
◯ プロトリーフ「赤アジサイの土」 1袋 5L
この土の特徴は,
赤色、ピンクの発色を助け美しく発色するような成分が配合されています。
次の項では、専用の土に植え替える時期と使い方について説明します。
専用の土に植え替える時期と使い方
あじさいを、専用の土に植え替える時期と使い方を説明します。
◯ プロトリーフ「青アジサイの土」
◯ プロトリーフ「赤アジサイの土」
「青アジサイの土」と「赤アジサイの土」ともに、時期と使い方は同じです。
(下記の説明は、商品袋のウラ面に記載があります。)
植え替えに適した時期
植え替えに適した時期 は、花が咲き終わった7月下旬頃です。
使い方
使い方は、下記の手順に従って進めてください。
1. 鉢の底の穴にネットを敷きます
2. その上に鉢底石を鉢の深さ1~2割くらいまで敷きます
3. そして、赤アジサイの土を鉢の1/3まで 入れます
4. 植え替えるあじさいの根に付いている土を軽く落とします
5. つづけて、枯れた葉や傷んだ根なども取り除きます
6. 5まで作業を済ませたあじさいを鉢の中央に置き、周りに赤アジサイの土を入れます
7. 植え付け後に、たっぷりと水やりをしてください
青アジサイの土に付属している発色剤の使い方
青アジサイの土に付属している発色剤の使い方を説明します。
発色剤1袋に対し、水3リットル程度を混ぜてください。
これを、6回分に分けます。
与える時期は、3月、4月、5月と8月、9月、10月 です。
与え方は、水やりと同じように与えてください。
土の酸度を調整するために使う専用の肥料のメーカー3社
土の酸度を調整するための専用の肥料、3種類を紹介します。
アミノール 「青花専用アジサイ専用肥料」「赤花専用アジサイアルカリ肥料」
☆ 土を酸性に傾けて、あじさいを青色方向へ変える肥料です。
1. アミノール「青花専用アジサイ 専用肥料」 400g
☆ 土をアルカリ性に傾けて、あじさいを赤色方向へ変える肥料です。
1. アミノール「赤花専用アジサイ アルカリ肥料」 400g
JOYアグリス「青アジサイの肥料」「赤アジサイの肥料」
☆ 土を酸性に傾けて、あじさいを青色方向へ変える肥料です。
2. JOYアグリス「青アジサイの肥料」 600g
☆ 土をアルカリ性に傾けて、あじさいを赤色方向へ変える肥料です。
2. JOYアグリス「赤アジサイの肥料」 600g
東商「青アジサイの肥料」「赤アジサイの肥料」
☆ 土を酸性に傾けて、あじさいを青色方向へ変える肥料です。
3. 東商「青アジサイの肥料」 500g
☆ 土をアルカリ性に傾けて、あじさいを赤色方向へ変える肥料です。
3. 東商「赤アジサイの肥料」 500g
肥料を与える時期と使い方については、下記の項で説明しています。
専用の肥料3種類のそれぞれの与える時期と使い方
専用の肥料3種類、それぞれの与える時期と使い方を説明します。
(下記の説明は、商品袋のウラ面にも記載があります。)
アミノール「青花専用アジサイ専用肥料」「赤花専用アジサイアルカリ肥料」を与える時期と使い方
◯ アミノール「青花専用アジサイ 専用肥料 」
◯ アミノール「赤花専用アジサイ アルカリ肥料 」
青花専用と赤花専用ともに、与える時期と使い方は同じです。
肥料を与える時期
肥料を与える時期は、
7・8月、12月~2月初旬、4月~5月 です。
肥料の与え方
肥料の与え方は、下記の通りです。
◯ 鉢植えの場合は、7号鉢(21cm)当たり=約20g を、鉢の縁に沿って与えてください。
◯ 地植えの場合は、1㎡当たり=約60g を、株の周りを囲むように与えてください。
補足事項:より美しく発色させるための追肥
※ 赤いあじさいを咲かせたい場合は、
3月頃に、石灰を肥料と同量与えると、より美しい花が咲くことが期待できます。
※ 青いあじさいを咲かせたい場合は、
2~3月に、ピートモスを鉢の縁、または株の周囲に2~3cm 敷きつめましょう。
・ピートモスとは、土を酸性へ傾け、水もちをよくする土で、主にコケからできています。
JOYアグリス「青アジサイの肥料」「赤アジサイの肥料」を与える時期と使い方
◯ JOYアグリス「青アジサイの肥料」
◯ JOYアグリス「赤アジサイの肥料」
青アジサイ用と赤アジサイ用ともに、与える時期と使い方は同じです。
肥料を与える時期
肥料を与える時期は、7~9月中旬、11月~2月 です。
肥料の与え方
肥料の与え方は、下記の通りです。
◯ 鉢植えの場合は、7号鉢(21cm)当たり=約20~40g を、鉢の縁に沿って与えてください。
◯ 地植えの場合は、1㎡当たり=約40~80g を、株の周りを囲むように与えてください。
東商「青アジサイの肥料」「赤アジサイの肥料」を与える時期と使い方
◯ 東商「青アジサイの肥料」
◯ 東商「 赤アジサイの肥料 」
青アジサイ用と赤アジサイ用ともに、与える時期と使い方は同じです。
肥料を与える時期
肥料を与える時期は、7月・3月 です。
肥料の与え方
肥料の与え方は、下記の通りです。
◯ 鉢植えの場合は、
6号鉢(直径約18cm)当たり=約10g
8号鉢(直径約24cm)当たり=約20g
を目安に、鉢のスミへ与えてください。
◯ 庭、地植えの場合は、
木の高さ1m未満=100g
木の高さ1m以上=200g
を目安に、枝の真下へ数カ所に分けて与えてください。
色を変えられる、あじさいの品種を確認
あじさいの品種は非常に多く、その中には色を変えられる品種と色を変えられない品種があります。
まず、事前に色を変えられる品種の確認をお勧めします。
次の項では、色を変えられる代表的なあじさいの品種を紹介します。
色を変えられる代表的なあじさいの品種
色を変えられる代表的なあじさいの品種を紹介します。
ホンアジサイ(ハイドランジア、セイヨウアジサイ)、ガクアジサイ には、色を変えられる品種が多くあります。
城ヶ崎、ダンスパーティー、サワアジサイ、ポップコーン、テマリテマリ、などが色を変えられる品種です。
ヤマアジサイは、七段花(シチダンカ)、深山八重紫(ミヤマヤエムラサキ)、美方八重(ミカタヤエ)などが色を変えられる品種です。
あじさいの色がキレイに変わらない、色ムラが出るなどの原因
色がキレイに変わらない、色ムラが出るなどで、あじさいが期待する色にならないことがあります。
あじさいの発色は十分に解明されていませんが、原因は以下の点が考えられます。
◯ 土のリン酸の量
◯ 土の水分の量
◯ もとの土壌の成分
これらの点は、あじさいの色を決める「アルミニウムの吸収量」と「土の酸度」に影響を及ぼします。
土のリン酸の量、土の水分の量 は、「アルミニウムの吸収量」に影響します。
もとの土壌の成分 は、「土の酸度」に影響します。
※ 土のリン酸の量、土の水分の量 については、
「補足:土の中のアルミニウム(アルミニウムイオン)の結合に影響するリン酸と水」
の項でも説明しています。
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