この記事では、「トーンカーブ」の機能と使い方を、未経験者、初心者の方に向けて解説しています。
「トーンカーブ」は色調補正ツールの中で、もっとも高性能なツールです。
他の色調補正ツールでできることは、ほぼ「トーンカーブ」だけでできてしまいます。
また、高度な補正、緻密で繊細な補正は「トーンカーブ」でなければ実現できません。
他のツールに比べ難しいところはありますが、最高レベルのクオリティーを目指して、ぜひ、チャレンジしてみてください。
なるべくわかりやすく、図を使って解説しています。
・トーンカーブとは
・トーンカーブの機能と使い方を図解で解説
・13種類のトーンカーブで、写真を使って色調の変化を確認してみましょう
・トーンカーブというツールの本当の真価とは?
「トーンカーブ」とは
トーンカーブとは、写真(画像)の色調を補正・調整するためのツールです。
すべての写真(画像)は、明〜暗(淡〜濃)の段階、変化によって色調が再現されています。
この明〜暗(淡〜濃)の段階、変化を「階調」といいます。
そして、色調補正の本質は、この「階調」を補正することに尽きます。
色調補正のツールは他にも色々ありますが、他のツールでの調整効果はトーンカーブでほとんど実現できてしまいます。
トーンカーブとは、「階調」の補正にも特化した色調補正の本質、原理を具現化したツールです。
下記がトーンカーブです。
横軸は、補正前の 0 ~ 255 のカラー値/RGB値(照度値)を表しています。
縦軸は、補正後の 0 ~ 255 のカラー値/RGB値(照度値)を表しています。
左下〜右上への斜め45°の直線の状態が、無補正の状態のトーンカーブです。
この直線を動かすことで、色調を補正します。
- 色調補正を覚える最短の道は、トーンカーブを理解することです。
- トーンカーブを理解しておけば、どのソフトを使用しても色調補正のスキルは通用します。
「トーンカーブ」の基本的な機能、使い方を解説
トーンカーブの基本的な機能や使い方について、図を使ってわかりやすく解説していきます。
トーンカーブの機能
トーンカーブの基本的な機能は、下記の3つです。
- 色調を、明るく(淡く)、または暗く(濃く)補正・調整できる
- 明〜暗(淡〜濃)の補正したいところを補正・調整できる
- どれくらい補正・調整するか、量を繊細に調整できる
① 色調を、明るく(淡く)、または暗く(濃く)補正・調整できる
「① 色調を、明るく(淡く)、または暗く(濃く)補正・調整できる」機能について、解説します。
-
上方向に動いている→「明るく=淡く」する方向へ補正している
-
下方向に動いている→「暗く=濃く」する方向へ補正している
ことを示しています。
下図の通り、トーンカーブを動かして、明るく(淡く)したり暗く(濃く)補正することができます。
② 明〜暗(淡〜濃)の補正したいところを補正・調整できる
グラフの左下の縦軸と横軸の角が、最も暗い(濃い)カラー値/RGB値(照度値)を示しています。
この角から離れるほど、明るい(淡い)カラー値/RGB値(照度値)になっていきます。
つまり、縦軸と横軸の左下角が最も真っ黒く、角から最も離れた両端が真っ白いことを示しています。
左下〜右上への斜め45°の白い直線が無補正のトーンカーブ です
オレンジの点線のトーンカーブが補正後のトーンカーブです
グラフの横軸 、水色の点線「補正前の色の値:入力」とは、補正前の写真(画像)のカラー値/RGB値(照度値)を示しています
グラフの縦軸、青色の点線「補正後の色の値:出力」とは、補正後の写真(画像)のカラー値/RGB値(照度値)を示しています
「入力」とは「補正前」の値のこと、「出力」とは「補正後」の値を指しています
上図では補正する写真(画像)の明〜暗(淡〜濃)のちょうど中間の値のところを補正しています。
横軸の中間部(補正前の色の値)から、垂直に上に延びた水色の点線矢印がオレンジのトーンカーブにぶつかっています。
その、ぶつかったポイントから、直角に左方向へ青色の矢印が延びていき、縦軸にぶつかっています。
この縦軸にぶつかったところの値が、横軸の中間部(補正前の値)を補正した補正後の値になります。
上図は、横軸の中間部の補正前の色の値を、縦軸の補正後の色の値に補正していることを示しています。
③ どれくらい補正・調整するか、量を繊細に調整できる
トーンカーブは、補正したい量を細かく繊細に調整しながら補正することができます。
上図、グラフの中の緑色の矢印で示した長さが補正の「量」です。
左下〜右上へ斜め45°の直線のトーンカーブの任意のポイントから、補正後のトーンカーブに向かって垂直に伸ばしてぶつかったポイントまでの長さが補正した量です。
横軸の水色で示した「補正前の色の値」中間部のポイントから垂直に上へ水色の点線矢印が伸びています。
水色の点線矢印は、まず白い直線、無補正のトーンカーブにぶつかり、次にオレンジの補正したトーンカーブにぶつかっています。
最初にぶつかった無補正のトーンカーブのポイントから、次の補正したトーンカーブにぶつかったポイントまでの、ポイントが動いた長さが緑色で示した「補正した量」になります。
トーンカーブの使い方
・トーンカーブに任意のポイントを作って補正する方法
・任意の「入力値」と「出力値」を入力して補正する方法
トーンカーブに任意のポイントを作って補正する方法
水色の左下〜右上へ斜め45°の直線のトーンカーブは、無補正のトーンカーブです。
白いトーンカーブ が補正後のトーンカーブです。
① 無補正のトーンカーブ上に、補正したい任意のポイントをクリックして作ります(上図、赤い●点)
② 作ったポイントをクリックしたまま動かすと、トーンカーブも追随して動きます(上図、黄色の矢印)
③ 補正したい量だけ動かしてクリックを放します
②の方法ですが、RGB(カラー)値を色に置きかることは難しいと思います。
①の方法で使い慣れていけば何ら問題ありません。
任意の「入力値」と「出力値」を入力して補正する方法
緑色で示した、「入力値」と「出力値」にそれぞれに値を入れて補正します。
『トーンカーブの 機能』、「② 明〜暗(淡〜濃)の補正したいところを補正・調整できる」の章でも解説しましたので復習になりますが、
「入力値」と「出力値」とは、下記の解説のとおりです。
グラフの横軸 、水色の点線「補正前の色の値:入力」とは、補正前の写真(画像)のカラー値/RGB値(照度値)を示しています
グラフの縦軸、青色の点線「補正後の色の値:出力」は、補正後の写真(画像)のカラー値/RGB値(照度値)を示しています
「入力」とは「補正前」の値のこと、「出力」とは「補正後」の値を指しています
・上段に、<色調補正前>の写真とグレースケールを配置
・下段に、<色調補正後>の写真とグレースケールと色調補正後のトーンカーブを配置しています。
・トーンカーブのグラフ内、水色の直線は無補正のトーンカーブを示しています
・トーンカーブのグラフ内、赤色の矢印はトーンカーブの補正の方向を表しています
① <全体にメリハリ(明暗・濃淡の差)を強調して補正>
② <ハイライト(最明部)のみを明るく補正>
③ <ハイライト(最明部)を明るく補正>
④ <シャドウ(最暗部)を明るく補正>
⑤ <シャドウ(最暗部)を暗く補正>
⑥ <ミドルトーン(明るい〜暗いの間の明るさ、暗さのところ)を明るく補正>
⑦ <ミドルトーン(明るい〜暗いの中間の明るさ、暗さのところ)を暗く補正>
⑧ <ミドルトーンの R(レッド)のみを明るく補正>
⑨ <ミドルトーンの R(レッド)のみを暗く補正>
⑩ <ミドルトーンの G(グリーン)のみを明るく補正>
⑪ <ミドルトーンの G(グリーン)のみを暗く補正>
⑫ <ミドルトーンの B(ブルー)のみを明るく補正>
⑬ <ミドルトーンの B(ブルー)のみを暗く補正>
「グレースケール」 とは
下記が「グレースケール」です。
上記の「グレースケール」は上下2段で構成し、上段はステップ状で、下段は連続調・グラデーションで階調の段階・変化を表しています。
例えば・・・・これを画面で見たときに、
・1番〜22番まで、色かぶりがない、無彩色の白色〜黒色である
・1番〜22番まで、白〜黒の明暗・濃淡の差、階調がある
ように見えるのが正しく、そうでない場合は、その画面の発色、明暗は厳密には適正でないということになります。
「トーンカーブの機能」では、下記のように解説しました。
『グラフの左下の縦軸と横軸の角が、最も暗い(濃い)カラー値/RGB値(照度値)を示しています。
この角から離れるほど、明るい(淡い)カラー値/RGB値(照度値)になっていきます。
つまり、縦軸と横軸の左下角が最も真っ黒く、角から最も離れた両端が真っ白いことを示しています。
すべての写真(画像)は、トーンカーブが示すように明〜暗(淡〜濃)の段階、変化によって色調が再現されています。
この明〜暗(淡〜濃)の段階、変化を「階調」といいます。
色調補正の本質は、この「階調」を補正することに尽きます。
色調補正のスキルは、この「階調」の補正がすべてといっても過言ではありません。
トーンカーブは、ただ明暗を補正するツールではありません。
「階調」の補正に特化した、色調補正の原理、本質を具現化した、色調補正の根本のツールです。
トーンカーブ の「真価」とは、写真(画像)の色調補正の方法の頂点にあり、そのすべてを司っている点です。
すべての写真(画像)の色調は、明部〜暗部の全域、階調の中で再現されています。
「トーンカーブ」は、その全域の階調を高度で緻密で繊細なコントロールができ管理することできる唯一のツールです。
ですので、最高レベルの色調再現、クオリティーを実現するためには「トーンカーブ」の修得は欠かせません。
「トーンカーブを制する者は、色調補正を制す」と言われる所以は、こうした理由によるものだと思います。
まとめ
色調補正ツールの頂点、「トーンカーブ」とは〜基本的な使い方、補正例まで解説しました。
「トーンカーブ」は、単に明暗を調整するツールではありません。
すべての写真(画像)は、明部〜暗部までの全域、階調で再現されています。
「トーンカーブ」は、その明部〜暗部までの全域、階調を高度で緻密で繊細なコントロールができ管理することできる唯一のツールです。
写真の最高レベルの色調再現、クオリティーの実現を目指す方は、ぜひ、「トーンカーブ」の修得に挑戦していただきたいと思います。
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