本稿では、下記について解説しています。
・「RAW」データは生、無処理のデータという意味
・「RAW」データが高品質である理由
・RAWデータが一般の画像編集アプリ(ソフト)では開くことも編集することもできない理由
・RAWデータはなぜ現像が必要なのか
・RAWデータの現像とは、どんな処理をするのか
これらの真相を解説しています。
本稿の記事
◯ RAW現像【RAWデータは無処理で高品質の意味と理由、現像の真相】
・RAWデータ【RAWの色情報を取り込むイメージセンサー(撮像素子)】
・RAWデータ【イメージセンサー(撮像素子)が光を取り込む構造】
・RAWデータ【「画素」は光の強弱を認識している】
・RAWデータ【「画素」が受光した光の強弱をカラーに変えるしくみ 】
・ RAWデータ【1画素に1色のカラーフィルターを配置】
・RAWデータ【無処理のデータという意味】
・RAW現像【現像専用アプリが必要な理由】
・RAW現像【「現像」処理の真相】
・補足:画像の画質はメージセンサーの大きさに比例する
RAW現像【RAWデータは無処理で高品質の意味と理由、現像の真相】
RAWデータが無処理のまま生成される実態と現像処理の真相を解説します。
① 「RAW」データは生、無処理のデータという意味
② RAWデータが一般の画像編集アプリ(ソフト)では開くことも編集することもできない理由
③ RAWデータは現像が必要な理由
④ 現像処理の真相
がわかります。
① ~ ④の理解には、イメージセンサー(撮像素子)の構造としくみが関わっています。
ですので、イメージセンサー(撮像素子)の構造・しくみに触れながら、① ~ ④ について解説します。
RAWデータ【RAWの色情報を取り込むイメージセンサー(撮像素子)】
イメージセンサー(撮像素子)とは、フィルムで撮影するカメラのフィルムに当たる部品です。
撮影した被写体の光の情報がレンズを通ってフィルムが記録するのと同様に、デジタルカメラではイメージセンサー(撮像素子)が記録します。
下記は、レンズを外したカメラの中のイメージセンサー(撮像素子)のイメージ図です。
デジタルカメラの中のイメージセンサー(撮像素子)のイメージ図
フィルムのカメラでは、イメージセンサーのところがフィルムになっています。
RAWデータ【イメージセンサー(撮像素子)が光を取り込む構造】
イメージセンサー(撮像素子)の構造は、碁盤の目のように並んだ「画素」の集合体となっています。
つまり、「画素」1つ1つが碁盤の目ように配置されています。
この「画素」1つ1つが、光を取り込む構造になっています。
下記は、カメラの中のイメージセンサー(撮像素子)を部分拡大した「画素」のイメージ図です。
RAWデータ【「画素」は光の強弱を認識している】
撮影した被写体の光の情報がレンズを通りイメージセンサー(撮像素子)から取り込まれ、「画素」はその光の強弱を認識します。
しかし、「画素」は光の強弱は認識しますが、カラーを識別することはできません。
カラーの画像は、R(赤)・G(緑)・B(青) の3色を使ってカラーを発色、再現しています。
つまり、カラーの画像を再現するためには、R(赤)・G(緑)・B(青) それぞれの<色情報>が必要になります。
画像をカラーにするためには、「画素」が受光した光の強弱の信号を、R(赤)・G(緑)・B(青) それぞれの<色情報>に変換する必要があるわけです。
RAWデータ【「画素」が受光した光の強弱をカラーに変えるしくみ 】
画像をカラーにするためには、「画素」が受光した光の強弱の信号を、R(赤)・G(緑)・B(青) それぞれの<色情報>に変換しなければなりません。
そのために、カラーフィルターを使って「画素」が受光した光の強弱の信号から[ 色の成分 ]を取り出しています。
イメージセンサー(撮像素子)の構造は、1画素づつにR(赤)・G(緑)・B(青) いずれか1色のカラーフィルターが配置されています。
そして、R(赤)・G(緑)・B(青)のフィルターが配置された「画素」から、それぞれの[ 色の成分 ]を取り出す構造になっています。
このしくみのイメージ図が下記の左の図です。
RAWデータ【1画素に1色のカラーフィルターを配置】
左の図を参照してください。(右は、後述します。)
イメージセンサー(撮像素子)に並んだ「画素」には、1画素につきR(赤)・G(緑)・B(青) いずれか1色のカラーフィルターしか配置できません。
上図の左が、1画素に1色のカラーフィルターが配置されたイメージ図です。
RAWデータ【無処理のデータという意味】
上図の左のように、このカラーフィルターの配列の各画素からはR(赤)・G(緑)・B(青) のいずれか1色づつに分かれた状態の[ 色の成分 ]しか取り込むことができません。
つまり、各画素が取り込んだ[ 色の成分 ]は、カラーフィルターのいずれか1色の[ 色の成分 ]であり、データとして保持しているのは1色になります。
そして、このデータの[ 色の成分 ]とは光の強弱のみの情報なので、光の強弱を濃淡で表した白黒の単色データになっています。
これらの[ 色の成分 ]を保持したR(赤)・G(緑)・B(青) カラーフィルターからの各データは、1色づつ分かれた白黒の単色データとして保存されています。(上図の左側)
RAWデータとは、この状態で保存されたデータです。
そして、取り込まれたままの、無処理の状態で保存されています。
これが、RAW の意味である「生」、「無処理」という名前の所以です。
RAW現像【現像専用アプリが必要な理由】
RAWデータは、R(赤)・G(緑)・B(青) の各データが1色づつ分かれた白黒の単色データです。
カラー画像ではないRAWデータは、一般の画像編集アプリ(ソフト)では開いたり編集することができないわけです。
そのため、現像専用のアプリ(ソフト)が必要になるわけです。
RAW現像【「現像」処理の真相】
RAWデータをカラー画像として見たり編集できるようにするためには、1つになったカラー画像に変換する必要があります。
そのため、単色データとして別々に保存されているR(赤)・G(緑)・B(青) の各データを合成処理しなければなりません。
しかし、カラー画像にするためには、各画素が取り込んだ[ 色の成分 ]のデータ情報だけでは情報量が足りません。
上図の左を参照してください。
R(赤)・G(緑)・B(青)の各色に分かれた、それぞれの単色データのグレーの部分が[ 色の成分 ]の情報を持っていない画素を表しています。
R(赤)・G(緑)・B(青)の各色に分かれた単色データを見ると、およそ2/3がグレーになっています。
つまり、R(赤)・G(緑)・B(青)各色の[ 色の成分 ]は、画素全体のおよそ1/3画素づつしか持っていないことになります。
これが、[ 色の成分 ]のデータ情報量が足りない原因になっています。
そのため、合成処理だけを行なってしまうと、実質、およそ1/3画素しかない画像になってしまいます。
これを補うため、他の色の単色データの [ 色の成分 ]の情報を参照しています。
[ 色の成分 ]の情報を持たない画素へは、他の色の単色データの画素周辺から [ 色の成分 ]の情報を参照し、そこから予測して情報を補完するという処理を行なっています。
例えば、R の情報を持たない画素は、 G と B の同じ場所の画素周辺を参照し予測して情報を持たない画素へ補完処理をします。
(上図の右側の図、R(赤)・G(緑)・B(青) 各色の淡い色部分が補完処理された画素を表しています。)
この合成補完処理を、デモザイク処理といいます。
RAWデータはこの処理を経て、通常のカラー画像と同様のRGBの<色情報>を持ったカラー画像に変換されています。
こうして、一般の画像編集アプリ(ソフト)で開いたり編集できるようになるわけです。
この工程、作業を「現像」といいます。
jpeg データは、カメラ内部でデモザイク処理と色調補正をして jpeg 形式で保存されているデータです。
補足:画像の画質はメージセンサーの大きさに比例する
現在、ほとんどのデジタルカメラが、このしくみ、構造のイメージセンサーを採用しています。
一方で、1つの画素でRGB3色を同時に取り込めるイメージセンサーがあります。
これを搭載した高画質、高再現力のデジタルカメラがありますが、ごく1部です。
※ 本稿の解説で紹介した「画素」の数が、デジカメの画素数、解像度を指しています。
ちなみに、撮影された画像の画質はイメージセンサーの大きさに比例し、画素数、解像度の大小に必ずしも比例しません。
1画素が取り込める「光の量」に比例します。
つまり、画質はイメージセンサーの大きさに比例するわけです。
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