本稿では、デジタルカメラのイメージセンサーのサイズが違うことで、どの点に影響するのかを解説しています。
イメージセンサーはデジタルカメラの根幹の性能、仕様にかかわる基幹部品ですので、サイズの違いは重要な点に影響します。
デジタルカメラの購入を検討されている方は、購入前に必ずチェックしておくことをお勧めします。
デジカメ【イメージセンサーのサイズの大小が影響する点とは?】
デジタルカメラ|イメージセンサーのサイズの違いが影響する点
デジタルカメラのイメージセンサーのサイズの違いは、下記の点に影響します。
・「階調」、色調の再現力
・画質
・交換レンズ
・画角
・ぼけ量
・カメラのサイズ・重さ
・価格
イメージセンサーはフィルムにあたる基幹部品
イメージセンサーとは、下記の部分です。
イメージセンサーはフィルムカメラのフィルムにあたる部分で、デジタルカメラの心臓部といえる精密な基幹部品です。
イメージセンサーの役割は、レンズで捉えた被写体、光景を受け止めて記録しデータを生成しています。
ですので、撮影した写真・画像の「質」は、イメージセンサーの性能が大きくかかわっています。
イメージセンサーは被写体、光景を受け止めるためには、よりサイズが大きい方が物理的に有利です。
どれだけ、より多くの被写体、光景の情報、光の量を取り込めるかが写真・画像の「質」を決めます。
つまり、イメージセンサーのサイズ・大きさが、最も写真・画像の「質」を左右する条件になるわけです。
イメージセンサーのサイズ・大きさが、そのカメラで撮れる写真・画像の最高画質を決めます。
写真・画像の「質」にこだわる方、再現力、描写力、臨場感、立体感など、クオリティーを望む方にとっては、最重要といえるポイントです。
イメージセンサーの代表的なサイズを図で比較
下記は、代表的なサイズの数値です。
メーカーなどにより多少の違いがあります。
・35mmフルサイズ:35.7×23.8mm / 36×24mm
・APS-Cサイズ:23.6 x 15.8mm/ 22.3x 14.9mm
・マイクロフォーサーズ :17.3x 13mm
・1.0型 :13.2x 8.8mm
・1/2.3型 :6.2x 4.6mm
イメージセンサーの代表的なサイズは下記の図のようになっています。
中心を基点にして、それぞれのサイズを重ねた図です。
上記のそれぞれのサイズを重ねて比べてみると、面積の差は下記のようになります。
「1/2.3型」は、一般的なスマホで使われているサイズです。
「1.0型」は、スマホやデジタルカメラで使われているサイズです。
「マイクロフォーサーズサイズ」、「APS-C」、「35mmフルサイズ」は、デジタルカメラで使われているサイズです。
「1/2.3型」と「APS-C」との面積の差は、約13倍もあります。
「1/2.3型」と「35mmフルサイズ」との面積の差は、約30倍もの差があります。
これだけ面積に差があるので、カメラが取り込める被写体・光景の情報量である光の量には必然と物理的な差が生まれます。
カメラが記録し生成する画像データのクオリティーの高さは、取り込める被写体・光景の情報量=光の量に比例します。
フィルムカメラと同様に、デジタルカメラもより光を取り込めるように設計されているのはそのためです。
イメージセンサーのサイズの違いが影響する点を簡単に解説
イメージセンサーのサイズの違いが影響する点を簡単に解説します。
「階調」の情報量
イメージセンサーのサイズの違いは、カメラが記録できる「階調」の情報量に影響します。
写真の色調の再現力は「階調」の情報量で決まるので、クオリティーにこだわりがある方にとっては、もっとも重要な点になります。
写真の色調の再現力、描写力、臨場感、立体感などのクオリティーは、カメラが記録する「階調」の豊富さ、情報量にかかっています。
「階調」が色調を決める
「階調」とは、濃淡・明暗の変化のことです。
イメージセンサーは肉眼で見たままの被写体・光景の色をダイレクトに記録しているわけではありません。
レンズが捉えた被写体・光景の濃淡・明暗の変化である「階調」を記録しています。
そして、写真の色調(すべての色と濃淡・明暗)は、その「階調」によって再現されています。
つまり、写真の色調の再現力、クオリティーは、カメラがどれくらい豊富な情報量の「階調」を記録できるかにかかっています。
もし、カメラが被写体・光景の「階調」を記録できていなければ、写真として色調の再現は不可能です。
「階調」の情報量は、カメラが保存するjpg画像や現像・色調補正にも影響する
カメラが記録する「階調」の情報量の差は、カメラが保存するjpg画像やRAWデータに影響し、撮影後の写真・画像の現像、色調補正、画像編集の幅にも影響します。
つまり、「階調」の情報量が少ないと、再現したい目標の色調への補正、編集中に「階調」が破綻しやすくなるため、これ以上は再現できないという局面を迎えることがあります。
「階調」の情報量が豊富であれば、色調補正、画像編集の幅は広くなるので写真の再現力、描写力、臨場感、立体感など、色調のクオリティーの高さは増しますし表現の幅も広がります。
デジタルカメラ|イメージセンサーのサイズの違い・「階調」の差とは?
画質
画質はイメージセンサーのサイズと画素数が関わっている理由
よく、画素数が多くなると画質が高くなると誤解されますが、実は小さいイメージセンサーほど画素数が多くなると画質は低下します。
その理由はイメージセンサーの構造を知ると簡単に理解できます。
イメージセンサーの構造は碁盤の目のように区切られていて、この碁盤の面で被写体、映像の光を受けて取り込みます。
画素数とは、区切られた碁盤の目の数にあたります。
そして、碁盤の目1つを1画素といいます。
例えば、1000万画素の場合、碁盤の目の数が1000万個あるということになります。
ではなぜ、小さいイメージセンサーほど画素数が多くなると画質は低下するかというと、
同じサイズのイメージセンサーのまま1000万画素が2000万画素になった場合、1画素あたりが取り込める光の量は半分に減少することになります。
つまり、小さいままのイメージセンサーでは、画素数が多くなるほど1画素あたりが取り込める光の量は大きく減少していきます。
取り込める光の量が大きく減少するほど感度が下がっていくため、画質は低下することになります。
画質の差について
画質は、イメージセンサーが光を受け取り込める量が多いほど高くなり、少ないほど低下します。
イメージセンサーのサイズの違いによる画質の差は特に暗部に現れます。
暗部の再現の質はイメージセンサーの感度が関わっています。
ですので、なるべくサイズの大きなイメージセンサーで、より多くの光を受けとめ取り込むことが重要になります。
光を取り込める量が多くなり感度が高くなると、粒子状のノイズが発生しづらくなります。
特に画像の暗部は粒子状のノイズが発生しやすいため、画質が悪化しやすくなります。
イメージセンサーがより多くの光を取り込んでノイズの発生を低減できれば、画像の階調、明暗、色調の変化は自然で滑らかになり画質は向上します。
画質は画素数より、まずイメージセンサーのサイズを検討して判断をするべきでしょう。
交換レンズ
一眼レフカメラとミラーレスカメラは、撮りたい写真に合わせてレンズを選んで交換することができます。
カメラを購入する時にレンズが付いてくるセットやキッドがありますので、最初はそちらを選んでも良いのですが、使っていくうちに撮りたい写真に合わせてレンズを購入される方は多いです。
風景など広い範囲を撮ることができる広角レンズや遠くのものをアップで撮ることができる望遠レンズのほか、色々な特徴のレンズがあります。
レンズを選ぶ際、気をつけなければならないことがあります。
それは、カメラに合った規格のレンズを選ぶ必要があるということです。
カメラとレンズの接合部には規格があり、メーカーやカメラによってサイズや形状も異なっています。
難しそうに感じるかもしれませんが、どのメーカーもホームページなどでカメラに合った規格のレンズを紹介していますので簡単に選ぶことができます。
下記の画像は、上がカメラの接合部分、下がレンズの接合部分です。
・上のカメラの画像はレンズを外しています。
シルバーの円状の部分がレンズとの接合部分です。
・下のレンズの画像はレンズの接合部分の画像です。
シルバーの円状の部分がカメラとの接合部分です。
この円状の接合部分をマウントといいます。
マウントのサイズ、規格がカメラと同じレンズであれば交換することができます。
同じマウントであれば、35mmフルサイズ用のレンズをAPS-Cサイズのカメラにつけることができます。
また、その逆に、メーカー、カメラの機種によっては、APS-Cサイズ用のレンズを35mmフルサイズのカメラにつけることもできます。
ただし、このようにカメラのイメージセンサーのサイズとは異なるレンズで撮影する場合、「画角」が変わってしまいます。
「画角」については、下記で解説します。
画角
画角とは、写せる範囲のことです。
同じ焦点距離のレンズで撮影した場合、小さいサイズのイメージセンサーのカメラの画角、写せる範囲は狭くなります。
大きいサイズのイメージセンサーのカメラに比べ、写せる範囲は狭くなりますが被写体をより大きく写せます。
一方で、大きいサイズのイメージセンサーのカメラは、画角、写せる範囲を広く写せます。
35mmフルサイズのイメージセンサーのカメラは、APS-Cサイズよりもセンサーの面積が大きいため、より広い範囲が写せることになります。
下記は、同じ焦点距離のレンズで撮影した時の35mmフルサイズのカメラの画角とAPS-Cサイズのカメラの画角を比較した画像です。
上記のように、同じ焦点距離のレンズで撮影した場合、35mmフルサイズのカメラの画角は広く、APS-Cサイズのカメラの画角は狭くなります。
APS-Cサイズのカメラは、レンズの焦点距離イメージが 35mm 換算で約1.5〜約1.6 倍相当になるので、画角は望遠寄りに拡大になるため狭くなります。
例えば、35mmフルサイズの焦点距離が16mmの場合、APS-Cサイズでは約26mm相当の大きさになります。
50mmの場合は約75mm相当、200mmの場合は約300mm相当になります。
ですので、焦点距離が同じレンズの場合、風景を撮る場合など広い範囲を撮りたいときは35mmフルサイズのカメラが有利ですし、被写体を大きく写したい時にはAPS-Cサイズのカメラの方が有利になります。
35mmフルサイズ用のレンズですと、レンズに記載されている焦点距離の数値通りの画角で撮影することができます。
ぼけ量
上の写真のように、手前の被写体にピントを合わせて、奥の背景や遠くの被写体はぼかした写真をご覧になったことがあると思います。
ぼける量はセンサーサイズが大きい方が強くするぼかすことができるので、ぼけを使った表現力はセンサーサイズが大きいカメラの方が有利に働きます。
カメラの大きさ・重量
カメラをストラップで首から吊るしている方は多いと思います。
大きく重くなるほど、長時間の持ち運びでは疲れやすくなります。
ですので、大きさ、重量は持ち運びの利便性の点で重要なポイントだと思う方は多いと思います。
イメージセンサーのサイズが大きくなるほど、カメラとレンズの大きさ、重量は大きく重くなります。
また、カメラの種類やメーカーによっても大きさ、重量は大きく異なります。
デジタルカメラには、下記のように大別して3種類あります。
① 一眼レフカメラ
レンズ交換式のフィルムカメラと同様でカメラの中にある鏡(レフ・ミラー)に被写体・景色を反射させ、ファインダー越しに被写体・景色を見て撮影することができる構造のカメラです。
カメラ本体の大きさはフィルムカメラと同じで、3種類の中で最も大きく重いタイプのカメラです。
もっとも高画質、高クオリティーで記録できるカメラです。
② ミラーレスカメラ
レンズ交換式のカメラで、フィルムカメラの鏡(レフ・ミラー)がなく、被写体・景色を映像として電子ビューファインダー、または、液晶モニターに写して撮影することができる構造で一眼レフカメラを小型化したカメラです。
カメラ本体の大きさ、重さは一眼レフカメラより、かなり小さく軽く、持ち運びに非常に有利です。
しかし、一眼レフカメラと同様の性能で、同様の高画質、高クオリティーの写真・画像を記録できます。
メーカーによって、大きさ、重量が異なります。
③ コンパクトカメラ
レンズとカメラ本体が一体型の小型のカメラで、もっとも手軽に写真を撮れるカメラです。
イメージセンサーは一眼レフカメラ、ミラーレスカメラより小さいため持ち運びに適しています。
記録できる写真・画像の画質、クオリテイーは一眼レフカメラ、ミラーレスカメラには及びません。
「一眼レフカメラ」と「ミラーレスカメラ」の重量・大きさの数値
高画質、高クオリテイーで記録できるカメラは、「一眼レフカメラ」と「ミラーレスカメラ」です。
下記では、「一眼レフカメラ」と「ミラーレスカメラ」の大きさと重量のおおよその数値をご紹介します。
先に、結論から言ってしまうと、「一眼レフカメラ」より「ミラーレスカメラ」の方が大きさ、重量ともにかなり小さくて軽いです。
さらに、特定のメーカーの「ミラーレスカメラ」は、他のメーカーより優れたイメージセンサーを搭載しているだけでなく、大きさと重量はもっとも小さくて軽いです。
下記が、大きさと重量の数値です。
※レンズは除いたカメラ本体のみの数値です
イメージセンサーのサイズによって、重量・大きさが変わるので、「35mmフルサイズ」と「APS-Cサイズ」を搭載したカメラの重量と大きさを別々にしています。
「一眼レフカメラ」と「ミラーレスカメラ」を分けてはいません。
大きく重い方が「一眼レフカメラ」、小さく軽い方が「ミラーレスカメラ」の数値です。
重量は、レンズは除き、バッテリー、カードを含むカメラ本体のみの数値です。
大きさも、レンズは除き、カメラ本体のみの数値です。
カメラメーカーによっても、重量、大きさはだいぶ差があります。
35mmフルサイズのカメラ
大きさ:
最小約124.0mm (幅)x 71.1mm(高さ) x 58.6mm(奥行)
最大約150mm(幅)×124mm(高さ)×78.5mm(奥行)
重量:
最小約509g 〜 最大約1000g
APS-Cサイズのカメラ
大きさ:
最小約122.0mm(幅) x 69.0mm (高さ)x 63.6mm (奥行)
最大約140.7mm(幅)×104.8mm(高さ)×76.8mm(奥行)
重量:
最小約345g ~ 最大約720g
※ 上記は、2023年時点での数値です
価格
価格は、イメージセンサーが大きくなると高く、小さくなると安くなる傾向にあります。
メーカー、カメラの機種、解像度、性能などによって、かなり異なります。
高画質、高クオリティー、高解像度、性能と持ち運びの利便性は、特定のメーカーのカメラが突出しています。
イメージセンサーのサイズの大小が再現力、画質、クオリティーを決める理由
イメージセンサーのサイズの大小の違いは、スマホで閲覧する程度の画像サイズであれば、さほどの差は感じられません。
しかし、後日、大きめのサイズでプリントしたいとなった場合、イメージセンサーのサイズの大小が再現力、画質、クオリティーの違いとなって現れてきます。
なぜなら、カメラが映像を記録する仕組みとは、光という色調情報を取り込むことで映像の色調を記録しているからです。
つまり、光をたくさん取り込めるほど映像の色調情報を豊富に記録できるので、必然と映像の再現力、画質、クオリティーは高くなることになります。
物理的に、イメージセンサーのサイズが大きいほど受光できる面積が大きくなるので、取り込める光の量は多くなります。
一方、イメージセンサーのサイズが小さいほど受光できる面積が小さくなるので、取り込める光の量は少なくなります。
ですので、再現力、画質、クオリティーの高さはイメージセンサーのサイズの大きさに依存するわけです。
これが、イメージセンサーのサイズの大小が、再現力、画質、クオリティーを決める理由です。
余談ですが、イメージセンサーのサイズが同じであった場合、画素数、解像度が大きくなっても取り込める光の量は多くはなりません。
そのため、イメージセンサーが小さいままでは、むしろ再現力、画質、クオリティーは悪化することすらあります。
映像の再現力、画質、クオリティーの高さは、画素数、解像度ではなく、イメージセンサーのサイズが大きいほど有利になります。
もう1点、映像の再現力、画質、クオリティーの高さを決める要因には、イメージセンサーの性能が関わっています。
イメージセンサーのサイズの他に、カメラメーカー、イメージセンサーのメーカーによって性能に差があります。
この差も色調の再現力、画質、クオリティーに影響が及びます。
まとめ
デジカメ、スマホの画像の再現力、画質、クオリティーは、画素数、解像度ではなく、イメージセンサーのサイズが大きいほど物理的に高くなります。
その理由は、イメージセンサーのサイズが大きいほど、より多くの映像の情報である光を受けることができ取り込めるからです。
また、カメラの性能が同等であれば小さく軽い方が持ち運びは断然、楽で便利です。
例えば、登山や長時間の持ち運び、バッグで持ち運ぶ際にも、軽くて小さいということの利便性、負荷は全然違います。
そして、イメージセンサーの性能は同じサイズであっても高性能であるほど画像の再現力、画質、クオリティーは高くなることは言うまでもありません。
実は、カメラの大きさ、重量の利便性、さらにイメージセンサーの性能の高さは、特定のメーカーが突出しています。
デジタルカメラ|イメージセンサーのサイズの違い・「階調」の差とは?
※本稿の画像は、「Adobe Photoshop」を使って補正、制作しています。
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