本稿は、画像の色調、ハイライト・明部の「階調」を補正するときのポイントを解説しています。
今回の -vol.2 は、-voi.1 に続く第2回目です。
画像を変えて、-voi.1 と同じように比較と補正のポイントを解説しています。
より多くのパターンを見て知ることは、より理解を深められる方法だと思います。
色調補正とは、画像の「階調」、トーンを補正するということです。
「階調」とは、色調の濃淡・明暗の変化、段階のことです。
「階調」の補正で最も重要なのはハイライト・明部の補正です。
ハイライト・明部の補正は全体の色調の仕上がりに大きく影響します。
また、立体感や光感、テクスチャー、質感などの再現、色調のクオリティー、再現力を決定づける重要な補正になります。
その理由、意味を画像の比較だけでも分かるような内容になっています。
3点の画像を使い、ハイライト・明部の補正を変えた色調の比較と補正のポイントを解説しています。
画像の色調補正【ハイライト・明部の「階調」補正のポイント-vol.2】
今回の -vol.2 は、-voi.1 に続く第2回目です。
画像を変えて、-voi.1 と同じように比較と補正のポイントを解説しています。
ハイライト・明部の補正は色調補正の基本中の基本で、まず最初に行う補正です。
そして、色調全体のクオリティーを決定づける要になる補正になります。
クオリティーの高い色調にこだわりたい方は、必ず押さえておくことをおすすめします。
ハイライト・明部の補正の重要性が下記の項の画像を見ただけでも理解することができる内容です。
さらに、各画像それぞれの補正のポイントも解説していますので、より理解が深められると思います。
ハイライト・明部の階調の違いを画像で比較
3点の画像、A・B・Cを使って、下記の①〜③のように3パターンの異なるハイライト・明部の補正を行い、その色調の違いを比較し、補正のポイントを解説しています。
① ハイライト・明部の階調が適正な画像
② ハイライト・明部の階調が明るすぎる画像
③ ハイライト・明部の階調が暗すぎる画像
サンプル画像_Aの比較
① ハイライト・明部の階調が適正な画像
② ハイライト・明部の階調が明るすぎる画像
③ ハイライト・明部の階調が暗すぎる画像
サンプル画像_Aの比較を解説
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>と<② ハイライト・明部の階調が明るすぎる画像>の比較と補正のポイント
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>は、この画像のハイライト・明部に当たる白っぽい箇所はすべて参照する必要があります。
その中でトンボがとまっている箇所に注目すると、白い部分からグレーの模様の濃淡・明暗の変化、階調がきちんと再現されています。
そして、白い部分は真白くはなく階調を残しています。
また、トンボの羽のキャッチライト(光っている部分)の階調は真白く飛んでいますが、その周囲のテクスチャーは再現されています。
その結果、キャッチライトからグレーの箇所の階調がきちんと再現されています。
<② ハイライト・明部の階調が明るすぎる画像>は、トンボがとまっている箇所に注目すると、白い部分は白くは残っていなく、さらにグレーの模様の淡い部分は白っぽくなっています。
そのため、白い部分からグレーの模様の濃淡・明暗の変化、階調が弱くなっています。
また、トンボの羽のキャッチライトの階調は真白く飛んでいますが、そのすぐ周囲のテクスチャーまで飛んでしまっていて羽のテクスチャーが再現されていません。
その結果、画像全体の中の明るい箇所からやや暗い箇所の範囲の階調が弱く、色調が浅い印象の仕上がりになっています。
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>と<③ ハイライト・明部の階調が暗すぎる画像>の比較と補正のポイント
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>については、上記と同様です。
<③ ハイライト・明部の階調が暗すぎる画像>は、トンボがとまっている箇所に注目すると、白い部分は白くなくグレーぽくなってしまっています。
そして、トンボの羽のキャッチライト(光っている部分)の階調は真白く飛んでいないので、キャッチライトが弱く光っている感じが再現できていません。
原因は、ハイライト・明部の補正が適正ではなく暗過ぎることです。
そのため、この画像のポイントであるトンボに光が当たっている感じが再現できていません。
さらに、全体の色調は暗くポイントのトンボが全体の色調の中に埋もれてしまっています。
また、手前と奥の距離感、奥行き感が弱くメリハリ感もありません。
サンプル画像_Bの比較
① ハイライト・明部の階調が適正な画像
② ハイライト・明部の階調が明るすぎる画像
③ ハイライト・明部の階調が暗すぎる画像
サンプル画像_Bの比較を解説
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>と<② ハイライト・明部の階調が明るすぎる画像>の比較と補正のポイント
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>は、この画像のハイライト・明部に当たる箇所、手前中央の白い金製容器の白い部分が適正な白さ、明るさに補正されています。
そのため、容器に陽が当たっている様子と容器の円筒の丸みがきちんと再現できています。
他の明部にも不自然さはありません。
<② ハイライト・明部の階調が明るすぎる画像>は、ハイライト・明部に当たる箇所、手前中央の白い金製容器の白い部分が真白く飛んでいます。
そして、白く飛んでいるスペースが広く、その部分の階調が何もないため円筒の丸みを再現できていません。
他の明部では、左のカーテンや戸の一部が白っぽくなっていて階調を失っています。
① ハイライト・明部の階調が適正な画像でも白い金製容器の影に青色の色うきが見られますが、より青色の色うきが強調されています。
理由は、ハイライトの補正が適正ではなく明る過ぎることが原因になっています。
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>と<③ ハイライト・明部の階調が暗すぎる画像>の比較と補正のポイント
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>については、上記と同様です。
<③ ハイライト・明部の階調が暗すぎる画像>は、ハイライト・明部に当たる箇所、手前中央の白い金製容器の白い部分が白くありません。
全体に落ち着いた色調の印象ですが、適正なハイライトではありません。
また、瓶のキャッチライト(光っている部分)のてかりやラベルの明部が弱くなっています。
そのため、手前から奥に向かって入っている陽射しの再現が弱くなっていて、瓶や樽などそれぞれのテクスチャー、メリハリ、抜けが悪くなっています。
そのため、全体が暗く、立体感の再現が弱くなっています。
理由は、ハイライトの補正が適正ではなく暗過ぎることが原因になっています。
サンプル画像_Cの比較
① ハイライト・明部の階調が適正な画像
② ハイライト・明部の階調が明るすぎる画像
③ ハイライト・明部の階調が暗すぎる画像
サンプル画像_Cの比較を解説
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>と<② ハイライト・明部の階調が明るすぎる画像>の比較と補正のポイント
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>は、この画像にはハイライトの白い箇所はありませんが、桜の花びらや橋の赤い闌干、水面の反射などから適正な範囲のハイライト・明部の補正になっています。
そして、明部に当たる箇所の階調が適正な範囲で再現できています。
<② ハイライト・明部の階調が明るすぎる画像>は、桜の花びらや水面の反射、奥の淡い空などが白っぽくなっています。
また、カメラが記録している画像にはある明部の階調が失われています。
その結果、陽が当たっている明部からそれよりやや濃い範囲まで明るくなり過ぎているため、色調が全体に浅い印象になっています。
理由は、ハイライトの補正が適正ではなく明る過ぎるためです。
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>と<③ ハイライト・明部の階調が暗すぎる画像>の比較と補正のポイント
<① ハイライト・明部の階調が適正な画像>については、上記と同様です。
<③ ハイライト・明部の階調が暗すぎる画像>は、桜の花びらや橋の赤い闌干、水面の反射が暗くなっています。
その結果、全体の色調が暗く、色もくすんでいます。
また、光感が弱く、手前の橋から奥の空までの距離感、奥行き感が弱くなっています。
理由は、ハイライト・明部の補正が適正ではなく暗過ぎることが原因です。
備考:<適正な階調の補正を行った画像>と<カメラが保存したJPG画像>の色調を比較
本項は備考になりますが、上述で使用したA・B・Cの3点の画像を使って<適正な階調の補正を行った画像>と<カメラが保存したJPG画像>の色調を比較しています。
<適正な階調の補正を行った画像>とは、ハイライト・明部の補正だけでなく、シャドウ・暗部の適正な補正のみを行った画像です。それ以外の補正は行っていません。
本項でお伝えしたいことは、カメラが保存しているJPG画像よりも適正な色調補正を行う方がクオリティー、再現力が高い仕上がりにできるということです。
解説はありませんが、画像見てすぐに分かる事例です。
サンプル画像_Aの比較
適正な階調の補正を行った画像
カメラが保存したJPG画像
サンプル画像_Bの比較
適正な階調の補正を行った画像
カメラが保存したJPG画像
サンプル画像_Cの比較
適正な階調の補正を行った画像
カメラが保存したJPG画像
まとめ
-vol.01 でも述べましたが、ハイライト・明部の補正は色調のクオリティーを決める最も重要な補正です。
ハイライト・明部とシャドウ・暗部の補正は色調補正の要、「基礎・基本」です。
なぜなら、ハイライト・明部とシャドウ・暗部の補正によって画像全体の「階調」の濃淡・明暗の幅、範囲が決まるからです。
ハイライト・明部の補正が全体の色調のクオリティーに大きく影響することは、本項の -vol.2 だけでなく -vol.01 も参考にされると、より理解を深められると思います。
下記は、-vol.01 で述べた内容と同じです。
色調の表現、仕上がりはさまざまで良いのですが、それぞれの画像で適正な補正ができるようになると表現の幅、補正の幅はより広がります。
画面を見て色調を判断する感覚だけの補正ですと、画面が変わったときなどでは色調再現のブレが大きくなってしまいます。
理由は、機器の画面ごとに発色が異なっていることが原因です。
また、感覚的な補正では補正アプリや補正ツールが変わると、そのたびにあらたに使い方を覚えなくてはならなくなります。
しかし、「基礎・基本」に則った補正は原理であることから、共通のツールで補正を行えます。
また、その他の補正アプリにも応用が効きますし、プリントでの色調を合わせたりコントロールするときにも役立ちます。
本稿では、ハイライト・明部の補正のポイントを画像の色調を比較しながら解説しました。
画像の色調補正【ハイライト・明部の「階調」補正のポイント-vol.1】
階調とは?/画像の色調【再現力を決める「階調」とは?わかりやすく解説】
※ 本稿の画像は、Adobe「Photoshop」を使って、色調補正、編集のすべてを行っています。
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