画面で見た写真の色調が、プリントすると暗くなったり、色が変わってしまう理由

画面で見た写真の色調が、プリントすると暗くなったり、色が変わってしまう理由

画面、モニターだとキレイな色なのに、プリントや印刷をすると色がくすんだり暗くなったりして、色調が変わってしまうことがよくあります。

ばぜ、色調が変わってしまうのでしょう？

その、おもな理由を3つに絞って解説します。

また、改善方法についても提案しています。

色が変わってしまう、おもな理由３つ

画面、モニターで見た写真の色調が、プリントや印刷するとくすんで暗くなったり、色が変わってしまう理由は、おもに下記の３つが考えられます。

下記の項で、この3つの理由について解説します。

色が変わってしまう、おもな理由 ① の解説

① プリント、印刷するとRGBのカラーの画像がCMYKのカラーの画像に変換され、色が置き換わってしまうため

① の理由について解説します。

画面で見ている色はRGBというカラーですべての色を発色、再現しています。

RGBとは、 R は Red：赤 、 G は Green：緑 、B は Blue：青 の3色を表す頭文字です。

RGB の3色は光によって発色し、画面、モニターの映像の色はRGB 3色各色の配合を変え混ぜてすべての色を再現しています。

一方、プリント、印刷の色はCMYKというカラーですべての色を発色、再現しています。

CMYK とは、 C は Cyan（シアン）、 M は Magenta （マゼンタ）、Y は Yellow（イエロー）、K は Black の4色を表す頭文字です。

CMYK の4色はインキによって発色し、プリンターや印刷物の色はCMYK 4色各色の配合を変え混ぜてすべての色を再現しています。

つまり、画面で見ている色をプリント、印刷するためにはRGBのカラーをCMYKのカラーへ変換する必要があるのです。

しかし、同じ色に変換することができないのです。

その理由は、RGB で発色できる色の数、範囲がCMYK で発色できる色の数、範囲より多くて広いからです。

そのため、RGB では発色できている色だけどCMYK では発色できない色があるわけです。

この場合、プリント、印刷するときCMYKで発色できる近い色へ置き換えて再現します。

特に、RGB の鮮やかな色、彩度が高い色ほどCMYK では発色できません。

これが原因で、色がくすみ暗くなってしまいます。

特に、彩度が高く鮮やかな色ほどくすむため、色が暗くなった仕上がりになります。

下記の画像は、RGBカラーの画像をCMYKカラーの画像に変換した例です。

おおむね、プリント、印刷したとき、このくらいの色の変化が生じます。

RGBカラーの画像

CMYKカラーに変換した画像

いかがでしょうか。

明らかに彩度が下がって、鮮やかな色はくすんでいるのがわかると思います。

くすむ理由は、RGBカラーとCMYKカラーの違いにあります。

下記では、RGBカラーとCMYKカラーについて詳しく解説しています。

ご存知の方、必要のない方は、読み飛ばしてください。

「RGB」カラー、「CMYK」カラー とは

画面、モニターで見ているRGBのカラーとプリントや印刷物のCMYKのカラーは、それぞれ元になっている原色があって、その原色の配分を変え混ぜ合わせてすべての色を発色しています。

元になっている原色は、画面、モニターで見ているRGBのカラーとプリントや印刷物のCMYKのカラーとでは異なっています。

画面、モニターのRGBカラーは、「光の三原色」というRGB { R： ( Red：赤 ) 、 G：( Green：緑 )、B：( Blue：青 ) } の3色が原色で、この原色の配分を変え混ぜ合わせてすべての色を発色、再現させています。

プリントや印刷物は、「色の三原色」というCMY { C：Cyan（シアン）、 M：Magenta （マゼンタ）、Y：Yellow（イエロー） } の3色が原色で、この原色の配分を変え混ぜ合わせてすべての色を発色、再現させています。

そして、この原色の3色に K : Biack（ブラック）} を補色として足すことで、暗部の黒をより真っ黒くしてしまりのある色調にしています。

RGBカラーとCMYKカラーは、発色、再現できる色数、色の範囲が違う

画面、モニターのRGBカラーとプリントや印刷物のCMYKカラーは、発色、再現できる色数、色の範囲が大きく違います。

光の三原色「RGB」の方が色の三原色「CMY+K」よりたくさんの色、広い範囲の色を発色、再現させることができます。

下図は、RGBカラーとCMYKカラーが再現できる色の範囲を現しています。

RGBカラーは「Adobe RGB」と「sRGB」の2つ、CMYKカラーは「CMYK」のみの範囲をケイで囲んでいます。

同じRGB カラーでも、「Adobe RGB」と「sRGB」では再現できる色の範囲、色数が違います。

どちらのRGBカラーもCMYKカラーより再現できる色の範囲が広く色数が多いことがわかります。

RGBとCMYMが発色、色再現できる範囲を表した図

画面、モニターの色は「光の三原色RGB」ですべての色を発色しているのに対して、プリントや印刷物は「色の三原色CMY+K」ですべての色を発色しています。

「色の三原色CMY+K」の色数、再現できる色の範囲は「光の三原色RGB」の色数、再現できる色の範囲より狭いため、再現できない色があります。

そのため、CMYKカラーに変換するとき、再現できない色をCMYKカラーで再現できる近い色へ変換、色の置き換えを行う必要があるわけです。

繰り返し、解説しておきます・・・・

上図の＜「RGB」と「CMYK」が発色、色再現できる範囲 ＞が示すように、「CMYK」の範囲は「Adobe RGB」と「sRGB」より発色、再現できる範囲が狭く、特に彩度が高い鮮やかな色は発色、再現できないことが分かります。

では、どうするかというと、発色、再現できない彩度が高い鮮やかな色は、発色、再現できる範囲内の近い色に変換、置き換えられることになるわけです。

「CMYK」の範囲内には「RGB」ほど彩度が高く鮮やかな近い色はないので、それよりくすんだ近い色に変換、置き換わります。

この色の変換、置き換えが原因で、画面、モニターで見た彩度が高い鮮やかな色は、プリントや印刷物にすると同じ色にはならずにくすんで暗くなったりするわけです。

高価なプリンターでは、この対策として「色の三原色CMY+K」の他にインクの色数を増やして、「RGB」の発色、色再現に近くなるような対策をしています。

RGBカラーの色再現に近づけられるプリンターほど、インクの色数は多くなり高価になります。

色が変わってしまう、おもな理由 ② の解説

② 画面、モニターで見た色をベースにして写真の色調を調整しているため

② の理由について解説します。

プロが使う高機能のモニターは、プリント、印刷物と同じ色、明るさ暗さに見えるように調整され管理されています。

ですが、一般のご家庭で使うモニターはそうではありません。

ですので、調整、管理されていないモニターで色調を判断して、きれいに色調に仕上げたとしたとしても、プリントや印刷をしてみると色調が違ってしまうのは当たり前のことなのです。

そして、モニターの色はその機器固有の色ですので、たとえ同じ機種ですら同じ色には映らないことがあります。

電気屋さんでたくさん展示されているテレビの発色がそれぞれ違うのと同じような道理です。

では、調整、管理されていないモニターでは、まったく対策しようがないかというとそうではありません。

色が変わってしまう、おもな理由 ③ の解説

③ カメラ、スマホなどに保存されている画像をそのまま使っているため

③ の理由について解説します。

カメラ、スマホなどに保存されている画像は、その機器のアルゴリズム（処理をする手順、方法、ルール）によって、色調補正された画像です。

ご自身で色調を調整されていない場合は、この画像を使っていることになります。

カメラ、スマホなどに保存されている画像は、適正で最適な補正が行われていないことが多々あります。

思っていたより明るすぎたり暗くなっていることは良くあることです。

また、画面で見た色調とプリント、印刷の色が合うように補正されているわけでもありません。

ですので、画面で見た色調とプリント、印刷との色が合わない、色が変わってしまうのは当然のことと言えるでしょう。

画面は発光して発色していますので、それだけでもプリント、印刷よりもキレイに目に映ります。

きれいにプリント、印刷するには？ 有効な方法、対策の提案

画面とプリント、印刷物の色調を合わせることは、実はプロでも難しく、専用のモニターやソフト、機器が必要になります。

一般の方には、画面とプリント、印刷物の色調を合わせることは非常にハードルが高く困難だと思います。

ですので、一般の方にもできる有効な方法、対策を提案します。

それは、画面とプリント、印刷物の色調を合わせるのではなく、近づけることです。

ストライクゾーンを広くし、画面とプリント、印刷物の色が合っていなくても、色調がきれいな方向でプリント、印刷できていたなら良しとする考え方です。

これなら、下記の方法が有効です。

方法は２つあります。

１つ目の方法は、ご自分でRGBカラーからCMYKカラーへ変換して、事前に画面で色調の変化を確認する方法です。

この方法ですと、事前にどれくらい色がくすむのかの検討をつけられます。

ただし、画面で見るCMYKカラーの色調とプリント、印刷物の色調が合うわけではありません。

２つ目の方法は、画面とプリント、印刷物の色調の差を確認しておき、それを踏まえて事前に画像を調整しておく方法です。

手順は、サンプルとなりそうな画像を選びプリント、印刷をします。

画面にそのサンプル画像を映して、プリント、印刷したサンプル画像の色調を比べてみましょう。

（すでにプリント、印刷物がある場合は、そのプリント、印刷物で使用した画像を画面に映して比較しましょう。）

すると、だいたいの色調の変化の傾向がつかめると思います。

変化の傾向がつかめたら、その変化の分も含めて画像の色調を調整しておきましょう。

例えば、プリント、印刷物では暗くなる傾向があるなら、その度合いをつかんでおき、画像の補正でその度合い分を明るくしておくわけです。

画面と同じ色調にできるわけではありませんが、何も対策しないより、ずっと近い色調になるはずですし明るさは改善されます。

画像の色調【色調補正の原理「基礎・基本」の方法で実現できる最高の再現力】

まとめ

画面、モニターで見た写真の色調が、プリントすると暗くなったり、くすんだりして、色が変わってしまう理由は、おもに下記の３つです。

昨今の 印刷は安い早いが主流になっています。
では品質はというと、やはり、それなりです。
理由は簡単です。
どの印刷も一定のインク量でさっと印刷するからです。
そして、時間、コストがかかる調整はほとんどすることはなく、色調の良し悪しを関わるインクの量など加減の調整はほとんどしないと思います。

例えば、色調に高品質を求められる写真集のような印刷は、インク量の微細な調整はもちろんですが、その他の変動する要素の調整、また刷版（ハンコの役割をする板）の繊細な調整と出力し直しなどを行って、目標の色調を再現するために最善を尽くします。

また、事前にクオリティーに応じて画像の緻密な色調補正を行い、試し刷り（色校正）を複数回行い、都度、修正が必要な画像はすべて色調補正からやり直します。
ですので、時間もコストもかかります。

高価なプリントや写真集のような高品質の印刷物は、こうした工程を繰り返して完成しています。

デジタル印刷ですと印刷での工程が少ないのでもっと工程はシンプルですが、画像の色調補正はこれまでと同様に必要になります。

そもそもの画像の色調が良くなければ印刷ではどうにもなりませんので、何よりも画像の色調をしっかりと仕上げることが重要です。

もし、ご自身で色調補正ができない場合は、コストは増えてしまいますがプリント、印刷だけでなく画像の色調補正も含めて依頼しまうのがもっとも確実な方法だと思います。

実は、画面、プリント、印刷物の色調は数値で管理されています。

プロはこの数値を見て色調を判断しています。

ですのでモニターの発色に依存していません。

ここまでには経験とスキルが必要ですが、方法が解れば一般の方でも短時間で色調の検討をつけることはできるようになると思います。

カメラがフィルムの時代は、カメラ屋さん、プリント屋さん、もしくは印刷会社の専門スタッフが写真の色調補正を行っていました。

つまり、プリントや印刷したとき、写真の色調はこうなるというルール、基準、原理を理解している専門の人たちが色調を補正していたわけです。

さらに、プリンティング・ディレクターが色調の管理、ジャッジ、修正、改善を担っていました。

その結果、プリント、印刷物は美しく仕上がるわけです。